九州の中央部、九州脊梁山脈と呼ばれる深く豊かな山々に囲まれた人吉盆地。
司馬遼太郎はここを「日本でもっとも豊かな隠れ里」と評しました。(「街道をゆく」)
自然の要害に守られ、豊かさと平和を長く享受してきた地です。
鎌倉時代初めより、相良氏の庇護のもと、他からの侵攻を受けることなく、
寺社建築や仏像をはじめとする芸術、また球磨焼酎をはじめとする生活文化が開花し、継承されてきました。
現在も、国宝や国指定重要文化財を多数抱える文化財の宝庫です。
文化庁が2015年度に創設したの認定制度。
地域の歴史的魅力や特色を通じて、日本の文化・伝統を語るストーリーを各地で認定。
人吉球磨地域は全国17地域とともに第一号として選ばれました。
日本遺産として認定されたストーリーは、
「相良七〇〇年が生んだ保守と進取の文化〜日本でもっとも豊かな隠れ里~人吉球磨〜」
球磨焼酎もそのストーリーを構成する文化財の一つに数え上げられています。
熊本県最高峰の国見岳の裾野に源を発するのが川辺川、日本で最も水質が綺麗な川として認められた清流です。
そして人吉球磨地方を代表する霊峰市房山から流れ出すのが日本三大急流として知られる球磨川です。
この二つの大きな清流とその支流、そして地下水が人吉球磨の土壌を豊かに潤していきます。
九州の中央部に広がる深い森林地帯、九州の背骨(屋根)という意味を込めて九州脊梁山脈と言います。
ここに降った雨は深い森に受け止められ、小さなせせらぎからやがて大きな川となって人吉盆地に流れて行きます。
米作りにも焼酎作りにも清らかで豊かな水は欠かせないものです。
球磨(クマ)の語源は、山襞(やまひだ)の古語だと言われています。
深い山々、山襞に囲まれた球磨地方は、実は古来から米作りに適した土地だと考えられます。
「弥生式農耕のやり方では、山襞こそ水田耕作の好適地であった。山襞ごとに球磨川へ流れ込む細流があり、その細流を段々畠に受けていけば稲作は容易なのである。」(司馬遼太郎)
また、人吉は全国でも有数の霧の街です。
年間の霧の発生日数は100日を超えます。
これは豊かな自然と寒暖差の大きな気候が要因だと考えられます。
そして寒暖差の大きな気候は米作りにも大事な役割を果たしています。
昼間は暖かく、養分をいっぱい作り、寒い夜の間にその養分をしっかり蓄える。
そうして美味しいお米ができるのです。
「球磨川流域は霧の立つ山峡として有名である。川霧が立つと、山襞山襞に寄りこもって容易に消えず流れず、このことが(中略)球磨の米を美味にしたことは確かである。」 (司馬遼太郎)
このように、清く豊かな水と自然の恩恵を受けて球磨地方は 米どころとなり、酒どころとなったのです。
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